「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、禁教期に密かに信仰を続ける中で育んだ、宗教に関する独特の文化的伝統を物語る貴重な文化遺産です。17世紀から2世紀以上に渡り続いたキリスト教の禁教政策の中、潜伏キリシタンが自らの信仰を続けていく中で、仏教や神道などの在来の宗教を装いながら、密かにキリスト教の信仰を続けていました。 潜伏するきっかけとなる出来事が起こった「原城跡」、密かに信仰を続けていた各地の「集落」、信徒発見の舞台となった「大浦天主堂」など、長崎県、熊本県の6市2町に残されている12の構成資産で、「禁教・潜伏期」を物語っています。そのうち、長崎市に3つある構成資産のうち、外海地区には「外海の出津集落」、「外海の大野集落」、の2つがあります。 |
マルク・マリー・ド・ロ神父(1840−1914)
ド・ロ神父は天保11年(1840)、フランス・カルバドス県バイユ群ヴォスロール村に生まれました。 |
外海エリアの構成資産
1 外海の出津集落 |
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外海の出津集落には、禁教下においてもキリスト教信仰が組織的に継承されてきた地域です。 |
出津教会堂
明治15年(1882)、ド・ロ神父の設計施工で建てられた教会です。その後、明治24年(1891)、同42年(1909)に増築し、現在の教会の形が整えられました。 |
旧出津救助院
ド・ロ神父が地域の女性たちの自立を支援するため、明治16年(1883)年に建設した授産施設です。 |
ド・ロ神父記念館
明治12年(1879)外海地方の主任司祭として赴任してきたフランス人宣教師マルク・マリー・ド・ロ神父は、深い人類愛の精神とすばらしいフロンティア精神をもって、外海の人々の魂と肉体の救いのため生涯を捧げました。ド・ロ神父記念館は、神父の遺徳をしのび、すばらしい業績を顕彰するために設けられました。 |
2 外海の大野集落 |
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外海の大野集落は、禁教期に潜伏キリシタン自身により信仰を続ける中で、神社の氏子として密かに自分たちの信仰対象を祀(まつ)り、神社を祈りの場としてキリスト教の信仰を継承しました。
大野教会堂は、明治26年(1893)、大野周辺の26戸の信徒世帯のために出津教会堂の巡回教会として、ド・ロ神父によって建てられました。また教会堂は平屋建で、強風に対応するため、「ド・ロ壁」を北側玄関前に直立させて風除けとした独特な建築様式となっています。 平成20年(2008)に国の重要文化財に指定されました。 |